H2A-F15 打ち上げ見学記  S.Yoshikawa

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行けるかな?

1月初旬、CubSATの載るH2Aロケットの打ち上げが気になる。Prismには募金してるし。
平日だから前後の移動日もあるし見に行けない、と思っていたが、
仕事を考えるとちょうど、この週は間が空くと気がつき、上司にお伺いを立てる。

1月中旬、Webで下調べと予約。ちょうど良いツアー商品はなかった。
やはり、種子島の飛行機は既に空きは無し
セントレアから鹿児島へ飛んで高速船を使うことにした。
高速船は往復で予約するとずいぶん割引されるし、後で便の変更も出来るのが良い。
鹿児島へはANAやJALも余裕あり。前割りを使うと安いが便の変更が出来ないのが難点だ。

島内の移動に車がほしいが、レンタカーが無い
オリックス、ジャパン、トヨタ、日産の大手を調べたが既に満車。
地元の会社へ電話するも高い車しか空いてない。こまった。
どうしようかと考えていたが、2.3日後に某旅行関係のWebを見たら日産に空きがあった!
Web予約したが、ホントか?と気になって電話確認。OKだった。

宿は中種子町役場のHPを見て予約した。
見学場所もWebで探してカシミールやGogleMapで調べまくった。

種子島へ

1/19.JAXAより打ち上げ延期が発表された。さらに天気予報を見ると悪い・・・
降水確率80%〜60%がずっと続いている。雨天の打ち上げになるのか?
最悪、翌週へと延期され見れずに帰るのか?不安が募るが、行くしかない。

1/20.名鉄でセントレアへ移動、やっぱ平日の朝は混む。神宮前まで立ちっぱなしだった。
(後で知ったが、ミューチケットは乗り換えでも有効。事前に買っておくべきでした。)
飛行機が鹿児島に近ずくにつれ天気が良くなってきたような。
鹿児島空港から市内までは高速バスで約1時間かけて移動、天文館通りで降りる。
佐多岬
Web地図で見たら近かったので、港まで歩いて見るが何か変だ、なかなか着かない。
地元の人に聞くと南に行くはずが西へ向かっていた事が判った。
結局、40分以上歩いて汗だくになって、やっと港に到着。(余裕があって良かった)

高速船ロケットは空いていた。船とは思えないエンジン音で快適に進む。
ガスっているので景色はいまいちだが、波も穏やかで揺れは少ない。

種子島について、レンタカーを借りる。聞いてみるとキャンセルが出て空いたのだった。(ラッキーだった)
やっぱり打ち上げ時のレンタカーは要注意だ。
この日は南種子までドライブしてみた、市街地の外は信号が無くどんどん行ける。
日が暮れたので中種子の宿に戻る。

宿には打ち上げ関係者も泊まっていて、夕食時に少し話を聞いた。
結局、予報は外れて夜になっても雨はふらず、風もずっと穏やかだった


待つのはつらい

長谷展望公園 1/21.昨夜といい今朝も予報は外れた。風は弱く雨もまだ持ちそうだ。
見学場所の下見に出かける。

長谷展望公園−とても広いし想像よりよく見える。悪くない印象だ。
 ただ、第一射場が組み立て棟に隠れるのが惜しい。(第二射場は見える)
 見ているうちに射場より手前で大きな水蒸気が上がった。
 観測ロケット?何かの試験?
上里周辺−採石場入り口とその先のコンクリート段の見学場所は長谷より少し近い。
 第一射場も片側の搭が隠れるのみでほぼ見える。だが駐車場所は少ない。
平山えびの海岸−わき道の入り口が判り難かったが何とか行き着く。やっぱ射場に近いし割と広い。
 その後、下見の人が何人も来た。

中型射場わき 宇宙センターへ行き色々見て周った。

竹崎見学場−下まで良く見えるが、通路は急で狭く、当日はマスコミや関係者のみの場所だ。
中型射場わきの海岸−中型射場のさび具合が良く見えて歴史を感じさせる。機体移動時は閉鎖される様だ。
ロケットの丘−射場から1.8kmで全体を見渡せるが発射時は立ち入れず。
光学観測所わき−ロケットの丘と同等な見通しだが駐車スペースが極小で発射時は立ち入れず。
第一射場の上にはF-15Aという今回のサインが見えた。

昼ごろに、またもや23日に延期の発表があった。ますます不安が募る。

午後から宇宙センター見学ツアーに参加した。
雨はぱらぱらと来たが大したことは無い、参加者から「予定どうりなら上がってる時間」との声が。
明日以後の予報も良くない、上空の氷結層らしいが2日前の予報による延期は早すぎたのでは?と思えてくる。

H2A-7号機 ロケット打ち上げが無いときは射場の近くまで入れてもらえるそうだが、今回はロケットの丘。
飛ばずに終わった実物のH2A-7号機が秀逸でした。まじかでみるとやっぱデカイしエンジンは複雑だ。

宇宙科学技術館には各国のロケット模型も展示されていた。
サターンXは別格として、H2Aは中国の有人に使ったのより大きく、他と比べても大型だったんですね。

南種子役場へ行ってFreeSpot(公衆無線LAN)について聞くと、南種子図書館でした。
調べたかぎりでは種子島には、インターネットカフェやまんが喫茶は無いようだ。
一部のホテルや旅館は可能のようだが、貴重な場所と思う。

夕方、長谷公園からAO-51に出てみた平日でどうかと思ったが、10QSOできた。
中種子まで戻って、次のPassに出たらUPし難いし海外局がいっぱいで1QSOのみ。

1/22.天気予報が悪い、また延期か?と気分が沈む。
朝のSO-50に出てみたが聞えにくいしUPもし難く、1QSOで終わる。

増田通信所へ見学に行った。18mDishは撤去されていてちょっと残念。
模型展示が主だったが、かぐやのハイビジョン映像を始めてみた。きれいだ。
また、月の海やクレータの底が緑っぽく見えるシーンが多い事に気がついた。
(もしかしてコケ?)

コスモナウト 某アニメーションのロケ地を巡りつつ、東の海岸を北上ドライブした。
海はきれいで海岸にはサーフィンにとても良さそうな波が来ている。

朝のうちは晴れ間もさしていたが、だんだん曇が厚くなり風も強くなってきた。
昼ごろから何回かJAXA-HPをチェックするも情報が無い
JAXA広報へ電話したが居ないようだった、どうなるか判らずますます不安。

夕方、西の表市からAO-51で6QSO、昨日より時間が早いからな。
やっと、JAXA-HPにY-0レポートが出て予定どうりだ。少し気分が明るくなった。

夜、7時ころから降り出した雨は強くなり、雷が何回も鳴っている。
これが続いたらまた延期か?不安がぶり返してきた。
10時過ぎに雨は止んで、落ち着いてきた。これなら予定どうり行くかな。

こっちに来てから妙に暖い、その変化に体調がついていかず風邪気味になった。
機体移動を見に行きたかったが、中種子からじゃ帰宅が深夜2時過ぎになるし、この体調なので明日を優先してあきらめ。
あとで聞いたら、55分も遅れたそうな。

宿で夕食時に他の見学者と話した。仕事の都合で、明日、見ずに帰るそうだ、かわいそう。
打ち上げ関係の人は23時から通信所にかんづめだそうで、ご苦労さま、よろしく。


いよいよ打ち上げ

えびの海岸 H2A F-15 4時間前 1/23.早々に宿を出て、平山えびの海岸へ向かう。
昨夜の雨で水溜りが増えていないか心配で早めに行った。
わき道への入り口に整理の車が止まってるし、JAXA広報車とすれちがう。
非公式な場所では無かったの?

9時前に着いた、幸い水溜り前の空きスペースに停めれた。
中へ歩いて行ってみると主要な場所には既に三脚が何本も立っている。
まだ、4時間以上あるのに皆さん行動が早い。

射場に据えられたH2A-15号機が横向きに見えた、曇ってはいるが風はまだ弱く行けそうだ。
えびの海岸はポイントが何箇所もあるので、奥の場所に位置取りしてひたすら待つ。

周りの人に聞いてみると、福岡、東京、屋久島など色々な所から来てる。
航空高専に通う息子の変わりに見に来たという、おっかさんもいた。
オーストラリアから映像作品のために来た人もいたし、取材陣も多いような。

H2A F15上り始め 後から来た人が樹木の枝を折っていた。撮影の邪魔だからっていかんなー。
三脚を立てたい人はもっと早く来なさい。

昼ごろになると強い風が出てきて、雨もぱらぱらと来た。また延期の不安がぶり返す。
今日がだめなら来週という話もあるし、とにかく無事上がってくれと祈るような気持ちでまつ。

そうしているうちに上空でビジネスジェットが旋回している、少しH2Aの様子が変わったような?
朝よりガスっていて双眼鏡で見てもH2Aの細部がぼやけるので発射前の散水も良く判らない。

ここは長谷展望公園と違ってJAXA-TVやカウントダウンの中継はない。
あと2分位で早めに録音を開始したが、後ろのギャル集団がしゃべりっぱなしだ。

いきなりロケット噴射の炎が見えた。大慌てでカメラをONして撮影しつつ見守る。
オレンジの炎が輝きを増す、最初の上昇は思ったよりゆっくりだ。
ちょっと上がった所でさらに炎が増した、SRBに点火したのか。

H2A F15上昇中 やや遅れて空気を振るわせる音が大きくなってきた。炎は長く伸び上昇の勢いも増していく。
一層目の雲を抜け、ニ層目の雲に入るころ少し曲がった。軌道修正だろう。

ニ層目の雲に入ると完全に見えなくなって、音だけが残る。(青空ならなー、だが贅沢は言えない)
音は伝え聞くほどには大きくならず、すぐに消えていった。

でも、ロケット音は数十Km離れた中種子や屋久島でも聞こえるそうだ。
やはり、こちらから発射場の方向に発射時11m/sの強い風が吹いて居た為だろう。

後には大きな水蒸気の雲が残った。それも見るみる風で流されすぐに消えてしまった。
あっと言う間だった。あれだけヤキモキして待ったのに、何か切ない。

デジカメは静止画を撮るはずが、動画で撮って居た事に気がついた。
皆、さっさと引き上げ始め、東大阪の関係者が報道陣のインタビューを受けていた。
衛星はこれからなのに、気が早いな〜。

えびの海岸 H2A-15後の雲 車に戻ってわき道を戻っていくと、歩いている人も多数いた。
車道まで出たら、車道の脇にもたくさんの車が止めてあった。入り口で制限してた様だ。
海岸まで1km以上あったはず。遅く来るとたいへんだ。
やはり、ここは非公式というより地元じゃ有名で準公式な場所だと思う。

普通の人はこれで終わりだが、私にはまだ衛星の受信がある
JAXA公式の長谷展望公園に向かう、発射から30分以上立っており、既にほとんど引き上げたあとだった。
見ると広大な芝生の半分まで駐車場にしていたようだ。やはり大勢集まっていたらしい。
ちょうどJAXA-TVが終わった所だった。衛星切り離しも無事にできたと聞く。

打ち上げの録音ファイル(MP3,3分46秒)  音量に注意しヘッドフォンで聞くと雰囲気が伝わると思います。
・打ち上げの動画は、こちらのH2A ロケット打ち上げレポートRocket-TV が良いと思う。


FirstVoiceは聞こえるか?

初回の周回はあと1時間後で北から西で低い仰角なので場所を探して移動した。
県道沿いでFT817+3eleLOOP+PCで待機する。

14:33ごろPrismの周波数を聞くが入らない。周波数を変えると妙なノイズが入る。
14:35ごろからKKS-1らしい信号を聞くが、コールサインを聞き取れず確信がもてない。
また、周波数を変えてみるが他のCWビーコンは入らず。

今回のように一度に複数の衛星が上がると忙しい。注意も分散してしまう。
終わってから、急いで図書館へ走り、録音をGSNへUPし東大のBlogへ報告、あちらもまだみたいだ。

ANTが壊れた、暫定でAO-51の低いPassを聞くが入らずやっぱ駄目か。
中種子へ移動後は雨も降ってきて車の外へ出たら風で持っていかれた、台風並みだ。
次のAO-51はあきらめて宿に帰った。

夜、ニュースをはしごで見ると例の東大阪のインタビューが出ていた。
同じ宿の関係者におめでとうと言って、またTVを見ているとKKS-1もやっと確認と言っていた。
昼の録音を聞きなおすとJQ1YYYと確認できた。FirstVoiceを捕らえていたのだ。

夜のPassでは多くの方が受信されたようで、今回のCubeSatはほぼ無事を確認。
おめでとう!

終わった

桜島

1/24.4泊もお世話になった民宿をでて港に向かう。
民宿は実に家庭的で、晩飯の量が多かった。昨晩は特に成功祝いか?多くて食べきるのが大変だった。

昨日の強風が続いていて朝の高速船は欠航したそうだ。海岸の岩場に散る波しぶきもすごい勢いだった。
幸い風は落ちてきて午後から出船し無事に鹿児島着。今日は桜島がきれいだ。

港から天文館通りまで歩いてみたが、すぐに着いた。来る時はずいぶん迷って居た事を実感した。
さらにバスもあった。

この日は桜島がきれいに見えていた。という事で後は省略、無事帰着。


今回、気になった事

ニュースで見たら竹崎展望台はがらがらだった。もっと衛星関係者や一般の人も入れてあげれば良いのに。

現地に来てるCubeSat関係者は受信機とアンテナの用意をして来ないの?
大型アンテナでないと受信できないと思っているのだろうか。
見通しの良い場所を選べばハンディ(TH-F7)に小型の2エレだって受かるのに。

アマチュア帯を使うCubeSatが複数上がったのだが、受信報告先などの情報提供は早めにお願いしたい。
先駆者の東大はさすがで早かった、香川大学、航空高専は打ち上げ後に報告先が判ってきた。
だが、まだが良く判らない所もある。そこまで手が回らないのか?、協力を欲していないのか?
情報は積極的に早く出して世界中のアマチュア無線家に協力してもらった方が効率的だしPRにもなって良いと思うのだが。


< 感想などあれば >

 Copyright (C) 2009 S.Yoshikawa 2009年1月30日 転載禁止です
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