パラグライダー耐久性の測定
 
パラグライダーはどの位の耐久性があるのでしょうか?

かなり昔に150時間が目安と聞いた事もありますが、実際にはもっと使っている人もいます、
また逆に100時間に満たない使用で、生地のエアーもれやライン切れが発生した事例も報告されています。
 
最近、アエロタクトではライン長などの新品に比べての変化を測定、点検してくれるサービスを始ています。
 
私のXYON22は3年間、約160時間、250フライトくらい使っており、最初に比べて立ち上げが悪くなって、
テイクオフ時に前に出難くなったと感じていました。生地の色も白い部分がだいぶ土色っぽくなってきています。
これより古い機体を使っている人も時々居ますが、ライン切れが心配だったので測定してもらいました。
 
この機体の保存方法は普通に部屋の中に置いており、高温になる車の中に入れておく事はやっていません。
 
測定結果
キャノピーの空気もれ(秒) 前縁エアインテーク側 後縁側
上面 50 40
下面 40 60
 
コメント 問題無くフライト出来る範囲ですが、新品時は120〜200秒の値で、かなり劣化しています。
 
過去に空気もれが問題になった機体をいくつか知ってますが、いずれももっと悪かったので
この位かなと思います、しかし紫外線に当たらない下面でも同じくらいの値というのが意外でした。
 
ライン長グラフ
 
コメント 新品時は7mm以内の幅に対し、ほとんどのラインが30〜50mmくらい縮んでおり、ストレッチすると
さらにラインバランスが崩れる恐れが有るので、ストレッチは行いませんでした。
(なおブレークコードはグリップの接続位置で変わるので参考値)
  
切れてるラインは無かったので、ほっとしました。しかし最大で73mm(1.1%)も縮んだと言うのは
やはり大きいと思います。他の機体で40mm位、縮んだという話を聞いた事は有りましたが。
Aラインの縮みが他より少ないのは、やはり過重が掛かるからでしょうか、
B−Dは相対的にはほぼ同じくらいなので、全体的なバランスはまだ良いと思います。
迎え角は上がる事になるので立ち上げが遅くなり、前に出難くなる訳です。
ちなみに測定結果は表で来たので、解りやすくするため自分でグラフにしました。 
 
メーカーの総合評価  このグライダーでのフライトはお勧めできません。
 
そこまで言うか? という感じですが、メーカーでは他にもXYONをいくつか測定したが、私のが
ダントツで悪かったようです。2年位使った物でラインの縮みは20mm位までだったらしいです。
 
また、「乾燥した山で使うより湿気の多い海岸で使う方がダメージは大きく、ラインも縮みやすい。
ツリーランで無理な力がキャノピーに加わると、破れた所だけでなく周辺もコーティングが傷む
ので、大きく変えなければならない場合も有るので注意してください」との事でした。
 
高塚では夕方などに飛ぶと細かい砂や潮の砕けたのがリッジの風に沿って流れているのが見える事が
有りますし、めがねにそれらが付着して見えにくくなることも有るので、キャノピーにも良くないでしょうね。
 
というわけで、砂が入ったらすぐに出すとか、定期的にラインストレッチを行った方が良さそうです。
 
ちなみにこの測定費用は15000円でした。
他のメーカーでも頼めばラインのデータをくれたり、ストレッチを行う所も有るようなので確認してみて下さい。
 
 測定日時 99年9月10日


関連ページ パラグライダーライン問題研究会

トップページ