ヘッドホン出力用 ステレオ昇圧トランスの製作 S.Yoshikawa

パソコンに取り込んだMP3やWMAをスピーカーで聞く為に、幾つかの方法を試してみた。

1、パソコン CF-Y9+SE-U33GX
音は良い。ごく稀に変な音がまじる。USBケーブルが長くなり邪魔。
2、Androidタブレット A1-830+SE-U33GX
音は良い。Android動作モードの切替時?にやや大きめなブーン音が入る。USBケーブルは短い。
3、Androidタブレット A1-830+SRS-BTS50
音は良い。時々やや大きめなブーン音が入る、BuleTooth接続でも同じだった。
4、プレーヤー Muvo2 ヘッドフォン端子
音量最大、手軽なのが良い。1と聴き比べても微妙な差。使い勝手は良い。
5、プレーヤー MP850 ヘッドフォン端子
音量最大でも音が小さい。
手持ちのデジタルオーディオプレーヤー(DAP)はライン出力に対応していない。
ヘッドフォンは電流駆動なので、インピーダンスは30Ω位と低く、信号の電圧は低い。
一方、ライン入力はインピーダンス10K〜50KΩと高いが信号電圧の大きさも必要である。

プレーヤーの中には音量最大にすると歪が増える物もあるし、他の機器とレベル差が有るのは使いにくい。

なお、始めに試した時は4の音が悪かったが、ビットレート低めのWMAが原因でした。
ビットレート高めのMP3で比べたら差は少なかった。

製作

回路図

ライン出力のあるプレーヤーを買おうか?とも考えたが、
インピーダンス変換を利用した昇圧トランスを作ってみた。

・ドライバートランス サンスイ ST-75 10K:600Ω(DCR 420:21Ω)
 「同等品SD-75 10K:600Ω(DCR 975:30Ω) DCR大、混ぜて使わない方が良さそう」

トランスはインピーダンス8Ω直流抵抗1Ω以下のアウトプットトランス(ST32とか)
でも問題ないかもしれないが、ヘッドフォンは直流抵抗も30Ω位なので、
直流抵抗が近いST75の方がプレーヤーのアンプには良い条件ではないかと。

内部写真 回路は右のとおり簡単で、電源も不要でエコです。
はじめ600Ωの両端を使ったら、昇圧が足りなく音量をだいぶ上げる必要があった。

そこで、センタータップを利用し昇圧比を上げる事にした。
この場合、インピーダンスは1/4の150Ω、直流抵抗は半分の10.5Ωとなる。
音量はヘッドフォン時に比べ少し上げる程度で合うようになりました。

タッパーにジャックを付けて配線しています、白線(黄線)は空きです。
トランスのコア金具も浮かしています。
写真の上がST-75、下がSD-75、いずれ揃える予定。

音質は昇圧トランスを使っても変わっていないと思う。結局はDAPしだいかも。
ただ、MP850の様な音量の低い機器も使えるようになりました。

もう少しカッコいいケースは無いか?と探した所、セリアに有った。
ディスプレイケースリトル 55x55x26mm @100円
意外に厚みがあって、ジャック周りを少しザグる必要があった。

ザグりはダイソーの木工用ドリル8mmとミニルーター用の軸付砥石を使った。
いずれも手持ちでグルグルこすり付けて削りました。
ちなみに、軸付砥石は砥石の中心がズレていてルーター使用時は注意要する。

内部写真 ちなみに、コードの太さや半田付けによっても音が変わるとの記述も散見されるが、
スピーカーはインピーダンスも8Ωや4Ωと低く、ボイスコイルを動かす電流駆動のため、
僅かな抵抗も差になって判るかもしれない。

だが、ヘッドホン出力やライン入力はインピーダンスを考えると相対的に影響も軽減されます。
オーディオには昔から変な迷信が多いけど、理屈を知って判断しましょう。


測定

周波数特性 測定はWin7パソコン+AS372NのHP OUTとLINE INを使った。
周波数特性は測定限界までフラットで優秀でした。
受け、出しのインピーダンスが適切だった様です。

矩形波 矩形波でも忠実な良い波形だと思います。

オシロで見ながらサイン波を上げ行くと5Vp-pより大きくなるとクリップし始めました。
ライン入力の定格の約2.5倍までの余裕がある事になります。

チャンネルセパレーション チャンネルセパレーションは高域なほど悪化していた。
改善策を検討してみた

・トランスの漏れ磁束を意識し位置や角度を変える → 変わらず
・トランスの配線を短くする → 変わらず
・トランスの金具を入力ジャックのGNDに接続 → 変わらず
・トランスの金具を入出力ジャックのGNDに接続 → 低域、中域が改善
・入出力ジャックのGNDを接続 → 低域、中域が改善

右上が元、下が入出力GND接続で改善した特性です。
トランス金具のGND接続は変わらなかったので、ジャックのみとした。
チャンネルセパレーション その後、出力ケーブルが原因だったことが判った。
インピーダンスが高いためにL,Rの線材が密着していると発生するようです。
L,Rが分離したケーブルを使った場合が右図です。
THD歪率 ST-75とSD-75の差はどうだろうか?歪率で比べてみた。
どちらも低域ほど悪化していたが、本家ST-75の優秀さは驚きである!
SD-75の価格はST-75の6割くらいなので、価格どうりとも言える。


補足

探して見たところ、あるもんですね〜商品化されてました。でも高い!
ELEKIT i-Trans OP-800 昇圧比 1:5 W68xH35xD70mm 約130g \8640
使用トランスが違うかな?

また、同じことを考える人は居るようで、ST-26(20K:1K)を使った製作例もありました。



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 Copyright (C) 2016 S.Yoshikawa 2016年3月12日(5/14追記) 転載禁止です