簡易ポロジメーターの自作 S.Yoshikawa

パラグライダーのキャノピーは布なので、長年の使用で劣化すると空気の漏れが大きくなってきます。
このポロシティー(空隙率)を測定し劣化判定するのがポロジメーターです。

ポロジメーターの構造

ポロジメーター

ゴムの蛇腹に重りが付いていて、上にキャノピークロスをドーナッツ磁石で固定します。
キャノピークロスを通して空気を引き込み、重りが下まで落ちる時間を測ります。
シンプルですが確実に動作する見事な構造です。
値段も結構するそうで、JHFでは有料貸出してくれるみたいです。

ポイントはゴムの蛇腹とドーナッツ磁石、密閉構造の加工です。
蛇腹はスムーズに動かないといけません、工業用の物は数千円から有るようだが、
密閉に都合の良い形や柔らかさの物が有るか?
ドーナッツ磁石はマグネットシートを加工すればなんとかなる?弱いかも。

蛇腹を密閉構造で固定する加工も大変そう。

自作ポロジメーターの部品

ジャバラ構造は部品も加工も難しいので、別の方法を考えました。
透明な密閉容器の空気を真空ポンプで抜いて、中の大気圧の変化を測れば良い!
大気圧はバリオメーターで測れる。と思い付きました。

真空ポンプは理化学実験の自作例にあった、風船や浮き輪用の空気入れを使用。
吸気側への固定はイス脚キャップを見つけました、ゴム栓より良さそうです。

また、ダイソーの工具売り場にドーナッツ磁石の付いた皿が有りました!
密閉容器は透明な樹脂製で蓋が鉄のを探しました、意外と無くてこれだけでした。
ホースは透明の物よりピンクの耐油用の方が柔らかそうでした。

メーカー名称寸法価格備考
ダイソーエアーハンドポンプ長さ24cm,直径50mm108円
ダイソーマグネット付皿11cm(磁石6cm)108円工具
セリアPETジャーボトル1000ml108円ふたは鉄製
iteckイス脚キャップ(黒) BE-0-48248mm丸213円エラストマー樹脂製
カクダイ平パッキン 9851-22外55mm,内39mm,厚3mm158円
DCMホースつなぎ P-233mm用159円観賞魚用
カクイチ燃料チューブ 3*6外6mm,内3mm 1m108円柔らかい
合計962円格安!

少し前にマグネット付皿が品切れになったが復活。今度はエアーハンドポンプが品切れになっていた。

簡易ポロジメーターの製作

イス脚キャップに穴を開けホースつなぎを押し込みます、これをエアーハンドポンプの吸気側に差し込み。
広げて入れるとちょうど良い寸法でした。
ジャーボトルにホースより細い穴を開け柔軟性を生かしてねじ込み。

ここで、バリオを入れてテスト。空気を抜くと高度が上がる(気圧は下がる)ものの、すぐに戻ってしまいます。
思ったより密閉性は悪いようです。漏れるのは容器かポンプか?

とりあえず減圧はできたので、次にジャーボトルの蓋と皿に穴を開けます。
皿はステンレスで結構開けにくかったです。裏側のゴムにも穴を開けます。

吸引時の高度変化からみて穴は6mmより大きくすれば大丈夫そうでした。
パッキンは蓋の上に載せて、被測定布ごとマグネットで押さえつけます。

ジャーボトルの口は78mmでAVD-SPORT-PROは押して変形させる事で入りました。
今回はバリオより小さいGarmin DAKOTA20を容器に入れ、高度測定しました。

簡易ポロジメーター
イス脚キャップ 蓋とパッキン
マグネット皿の後 蓋の後

簡易ポロジメーターで測定

吸気の一番狭い所はホースつなぎで2Φ位です、これで制限されるかと思いきや。
ポンプの引き具合で最高高度値が変わってきます、一定を心がけました。

ポンプを何回も引くと容器がベコッと潰れる程になります、
ポンプ一回の引き込みで高度を読み取り、3回以上を測って平均化しました。

仕方ありませんが、容器越しだと高度表示が読み取りづらく感じました。

品名最高高度備考
レシート、紙+504m
レジ袋、ポリエチレン+585mダイソーの袋
ウインドブレーカー(服)+104m長年使用
Advance取説袋-1,パラ生地+288mSigma7、2009年
Advance取説袋-2,パラ生地+425mSigma5、2002年
JIN取説袋,パラ生地+235mボナンザ、1999年
Advance,Sigma7+30m2009年、200時間位
Advance,Sigma5+20m2002年、200時間以上

取説はしまい込んでいた為、日が当たらず使用頻度も少ないので、初期状態に近いと見て良いでしょう。
一方、使い込んだ機体はあきらかな差が出ました。やはり空気漏れが進んでいたか。

Sigma7は夏に飛んでいて「Sigma5と変らなくなって来た、性能落ちたかな?」と思ってました。
某イントラからも「空気漏れしてる、買い替え時」と言われたし。
ただ、ツリーランや小さな破れも無く大事に使っていたので・・・残念。

ポロジメーターで使用限界という30秒が、これでどの位になるか解りませんが、劣化具合は測れました。




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 Copyright (C) 2019 S.Yoshikawa 2019年1月27日 転載禁止です