風向風速伝送システムについて

開発の経緯

 2001年12月より、風向風速のテレホンサービスシステムを作って運用してきました。
 近年、故障の発生が多くなり抜本的な改善を考える時期に来ていました。
 テレホンサービスシステムはやや複雑な構成で配線も多かったので、作り直すなら配線が少なく、シンプルなシステムにと考えていました。

 ホームページ表示形式にしてほしいとの要望もあって調べました。
なお、他エリアの様に無線で送って親機で受けてインターネットへの方法は、我々のエリアでは近くに親機が設置できず不可能でした。

 エリアから直接サーバーへ送る方法として「iND FPT-em」と「propak REX80」が候補に上がりました。
最初はメールで送るFPT-emを使おうと思ったのですが、法人にしか売ってくれない壁にぶち当たり諦めました。
FOMAユビキタスモジュールはSIM組み込みで法人でないと機器の入手もプロバイダ契約もできないのでした。

 REX80も使いこなしが大変で、HTMLやWebの仕組みを勉強しないと動かせない物でした。
でも、完成してみれば、安くて予備も用意しやすいので、良かったと思います。

風向風速計について

 最初からずっと、Peetbros Weather Stationを使っています。ULTIMETER-100/800を2箇所でほぼ十年使ってみての感想です。

anemometer(風向羽根は旧タイプです)

2014/12.今回、発送にUSPS(アメリカ郵便局)のExpress Mail(EMS)を使ったら一週間位で着いた。
 大昔にUSPSで送ってもらったら2ヶ月も掛ったのだが、ここ数年の間に船便は廃止されUSPSも改善されたと聞いた。
 本当だった、料金も国際宅配便の半額位でありがたい。
 ちなみに、関税は掛からないが消費税は掛かるので受け取り時に払う事になる。

2022/5.風向き羽根Assyの軸受けが樹脂からアルミになり強度が改良された。
 USPSの値上げにより、USPS Priority Mailより FedEx INTL Economyの方が安い場合もあった。

2022/7.比較的新しいULTIMETER100を使ってる所で、稀にULTIMETER100がフリーズする事が有った。
 調べると電源電圧を下げていき液晶が消えた位で、戻すとフリーズする事が判った。
 古いULT100はフリーズせず、再起動した。XTAL発振が止まってしまう疑いが出てきた。
 内部を見るとXTALが小型のHC-49/usだった、回路定数がこのXTALに最適化されていないのかも。
 古いULT100は普通サイズだったので、HC-49/uに交換した。
 電源電圧を下げてもフリーズせず再起動するようになった。
 基本的にそこまで下がる事はないはずだが、雷などの瞬低だろうか?

システム構成

 REX80+USBモデムでサーバーへ直接、データを送ります。
サーバー側はCGI(parl,PHP)とAJAX(Javascript)を使い表やグラフを表示してるので、カスタマイズ容易です。

システム図
メイン基板

 ULTIMETERからはパケットモードで5分に一回、データを受信しています。

 REX-80に使えるモデムはeモバイルのD26HWとドコモのL-08Cです。
プロバイダは標準ではeモバイル、ドコモのプランで、それ以外はコマンドを送って対応します。
私の方では、D26HWでso-net、L-08CではDTIの格安SIMを確認できました。

 2013年10月にDTI回線でHTTP通信でデータが届かないトラブルに見舞われました。
直前にドコモ回線が3G→LTE/3Gになった事によって、HTTP Chunkedの扱いが変わった様です。
 エラーのでるまま使っていたら、暫くしてモデムが壊れました。(*_*;
REX80は無事なのに??(後日、電源offタイミングが原因で壊れたと判った。)
 色々調べてソケット通信を使うことによりエラーを出さずにデータを送れる事が判りました。
やっと一段落です。

 2019年3月に経費節減でIIJmio IoTサービスに変更しました。
最初、L-08CにSIMを付けても認識せず焦る、よく見ればSIMカードのロゴはDocomoではなくIIJ。
これはIIJがフルMVNOにより出した自社SIMでした。それで初期費用も安く早く来た訳です。
つまり、L-08CのSIMロック解除が必要だった、ドコモ店で3240円で約一週間。
SIMfreeとなったL-08Cで無事に通信できました。容量も問題なし。

 マイコンのATmega164はシリアルポートが2つ有り、ULTIMETERとREX80に使っています。
開発言語はBASCOM-AVR(basic)です。C言語より簡単なので。

 デバック中に焦ったのは、コマンドのレスポンスが思ったより早くて取りこぼしが発生した事でした。
コマンドによっても違うようですが、以下の対策を行いました。

  測定波形

 また、ホームページを設置していたサーバーではデータ送りが上手くいかない事が判りました。
サーバーのアパッチのバージョンが1.3と古かったのが原因と思います。
新たなレンタルサーバーはお試し期間を使って確認しました。

 気圧と湿度センサーはメイン基板上に載せています。
また、バッテリは12V5Ah、太陽電池は12V用0.5A品、収納ケースは日東工業 OP16-353を使っています。

  2022/5. 3G停波にそなえて、REX80+L08CをLTEーM通信方式に変更した。
 開発詳細はマイコンによるLTE通信の検討に書きました。

湿度について

 数ヶ月使ってみて、湿度センサーの値がだんだん高いままになったり上限に張り付いたりするようになりました。

 調べたら、湿度センサーは100%近い湿度環境にさらされると、センサーの誘電体に吸湿された水分が抜けにくくなるようで、
湿度が下がってもオフセットが掛かった値になってしまう症状が出るらしい。

 防水ボックスに入れているが、密閉されている訳ではないので、雨が降れば湿度100%に近くなるし、海風は元々湿気が多い。
湿度が高すぎるのは将来的に故障の要因になるので、ボックスに吸湿剤(押し入れ用湿気取り)を入れる事にしました。


ソフトウエア

 サーバー側のアプリはParlとPHPで作っています、携帯用ページはサーバー側で動かすので負担が掛かります。
パソコン、スマートフォン用ページは、AJAX(javascript)で、閲覧側で処理するので、サーバーの負担は軽いです。
主にWeb上の解説ページを参考にして勉強しながら作りました。何とか完成、出来ました。

javascriptは命令を順番に実行しますが、サーバーの応答時間により、データが来るのが後になる場合が有ることが判りました。
でも、javascriptにはwaitに相当する命令はありません。皆、苦労する所のようで、ifとsetTimeoutを3段にして対応しました。

法律問題

 完成して喜んでいたら思わぬ問題がある事に気が付きました。
気象業務法により、気象観測データをホームページに載せる事が禁止されていたのです!
気象庁のFAQにも書いてありました。

 適法にするには、一ヶ月以内の短期とするか、観測機器を検定に通し気象台に届け出るしか無いようです。
でも、この気象機器検定は難物で簡単にできる事では無さそうです。費用も安くはありません。
安価な気象観測機器が国産品に無いのは、この法律の為ではないかと。

 一応、注意文と確認を入れて少しでも法律リスクを減らすようにしています。
また、気象機器検定も調べてみようと思っています。

 ネット上で気象情報を公開してるサイトを見ると、免責文を書いてる所も有りますが、気にしていない様な所も多いです。
どうなんでしょうか?

導入をお考えの方へ

 従来のシステムは配線も多く、やや複雑で、メンテナンス性も良くなかったので、相談が合ってもお勧めしていませんでした。
今回のは配線もスッキリして故障も起きにくくなったと思うので、供給も考えています。
ただ、以下の様な色々な準備やメンテナンスは、ご自分で行うようにお願いします。

 メイン基板完成品とソフトウェア、技術資料等を有償にて提供する事を考えています。
(メイン基板のソフトウェア変更にはBASCOM有料版が必要です。)

変換基板

 また、REX80の開発、デバックに便利な変換基板は基板のみor完成品で頒布できます。
左がパソコンとREX80を接続する基板で秋月のFT232RL基板を使っています。抵抗は無くてもOK。
右はメイン基板のシリアル出力を確認するために改造した基板です。

お問い合わせください。



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